ドリフト走行は速い?遅い?曲芸?究極はゼロカウンタードリフト走行

ドリフト Drift 180SX

YouTubeで「ドリフト」と検索すると、競技車両のリヤタイヤから、派手な白煙を上げながら迫力のある動画が大量にヒットします。

同様にGoogleで「ドリフト」と検索すると、9,260,000ページがヒットしました。

そして、英語圏の

で「drift」と検索すると、557,000,000ページがヒットしました。

日本語圏でも英語圏でも「ドリフト or Drift」はメジャーな言葉となっているようです。

ドリフト文化は日本発祥であり、あのドリキンこと土屋圭市氏やD1グランプリを抜きにしてドリフト文化を語る事はできません。

ドリフトはラジコンカーの世界にも影響を与え、D1グランプリの開催と共に2,000年代からラジドリ人気に火がついていきました。

そして、2017年よりFIA(国際自動車連盟)公認のドリフト世界一を決めるFIAインターコンチネンタル・ドリフティング・カップが開催されるようになりました。

ドリフトの起源

ドリフト走行を世間に幅広く発信したのはドリキンこと土屋圭市氏。ドリフトを知っている人で土屋氏を知らない人はいないほど。

土屋氏の影響により、日本国内でドリフト人気に火が付き、世界各国へ飛び火していったのです。

そもそも、土屋氏はアンダーステアを嫌うドライバー。彼は若かりし頃、コーナー入口でリアタイヤをスライドさせ、エンジン回転を高めながらコーナーを立ち上がるドライビングスタイルを築いたのです。

休刊となったDVD、ベストモータリングにレギュラー出演していた土屋氏がドリフトを世に広めたと言っても過言ではありません。

日本発祥のドリフト文化

ドリフトは日本発祥の走法と言われ、1980年代から走り屋の間でドリフト走行が広がっていきました。

ドリフトとは、コーナーの入口からリアタイヤを意図的にスライドさせ、派手な白煙とスキール音を上げながらコーナーを立ち上がっていく走法。

WRCのようなラリーの世界のグラベルでは、派手なドリフト走行がよく見られます。

なお、F1やドイツのDTM、日本のSUPER GT(GT300, GT500)などのレースでドリフト走行は見られません。

何故なら、ドリフト走行はラップタイムが遅くなってしまうため。また、ドリフト走行するとタイヤが過熱して摩耗が激しくなるため、ターマック(舗装路)のレースでは派手なドリフトは見られません。

派手なドリフトはショー的な要素が強く、フィギュアスケートのような立ち位置と言えます。

D1グランプリ

D1グランプリの正式名称は全日本プロドリフト選手権。D1 GPの提案者は土屋圭市氏とOPTIONマガジンのファウンダーである稲田大二郎氏。

2001年より開催されるようになったD1グランプリは車の速さを競うのではなく、ドリフト走行時の角度、スピード、ライン取り、白煙、美しさ等の複数の要素が総合的に判断されるモータースポーツ。

FIA(国際自動車連盟)公認

FIAこと国際自動車連盟はフランスのパリに本部を構え、世界125ヵ国、213の自動車団体が加盟する組織で会員数は1億人超。

FIAは世界の四輪モータースポーツを統括する組織であり、レースのルールや競技車両のレギュレーションを制定し、F1を代表とするレースを主催しています。

今やFIA公認のドリフト競技世界大会、FIAインターナショナル・ドリフティング・カップが開催されています。

日本発のドリフト競技が国際的に認められ、FIA公認のドリフト競技が開催されるようになったのです。

究極のドリフトは難易度が高い

舗装路での派手なドリフト走行はラップタイムを求めるのが目的ではなく、あくまでリアタイヤを派手にスライドさせ、白煙とスキール音を上げながらドリフト走行の美しさを追及する走法。

D1やFIAインターナショナル・ドリフティング・カップに見られるドリフト走行のシーンでは、あたかも物理の法則を超えているようなシーンが見られ、同時にクラッシュが数多いのが特徴。

ドリフトを極めていくと、極めてハイリスクな世界であることが窺えます。

ドリフトは塀の上を歩く、いや、走るような世界。僅かなドライビングミスがスピンやクラッシュに繋がってしまう、非常に難易度が高い走法。

毎年、安定して勝ち続けるプロ・ドリフトレーサーが皆無なのが、その証拠と言えます。

ドリフトとグリップ走行は違う世界

また、ドリフト走行とグリップ走行の両方を器用にこなせるプロレーサーは少なく、日本では谷口信輝氏や片岡龍也氏くらいではないかと言われるほど。

ドリフトは得意だけどグリップ走行は苦手、反対にグリップは得意だけどドリフト走行は苦手なプロレーサーが多いのです。

それだけ、ドリフトとグリップ走行は、それぞれ全く異なるドライビングスキルが求められると言えます。

ゼロカウンタードリフト

なお、ここで言うグリップ走行はタイヤが完全に路面を捉えてグリップしているわけではありません。レースの世界では、フロントもリヤタイヤも微妙にスライドしているシーンがあります。

YouTubeの動画では分かりにくいものの、タイヤが微妙にスライドしている時、最大のグリップ力を引き出すことができます。

YouTubeでF1やドイツのDTMを視聴すると、レーサーがコーナーの入口で僅かにステアリングホイールを動かし、やや早いタイミングでステアリングを戻すシーンが見られます。

動画ではほとんど分からないものの、これはゼロカウンタードリフトやゼロカウンターステア、ゼロカウンター走法と言われます。

これは、ステアリングホイールの操作量を最小限にし、ブレーキングと加速時にリヤタイヤを微妙にスライドさせ、タイヤのグリップ力を最大限に引き出す走法。

市販されている各タイヤメーカーのハイグリップタイヤやSタイヤとスリックタイヤを比較すると、タイヤの限界付近の挙動に違いがあります。

スリックタイヤに熱が入ると超強力なグリップ力を発揮するものの、限界付近の挙動がシビア。スリックタイヤを履いてリヤが大きくスライドすると、一気にスピンモードに入りやすくなります。

スリックタイヤを履くF1やツーリングカーレースでは、タイヤのグリップ力を最大限に引き出しながらのドライビングが要求され、ドリフトとは違った意味でのシビアなコントロールが必要とされます。

YouTubeでドリフト走行とF1やツーリングカーのようなグリップ走行を比較しながら視聴すると、プロレーサーのシビアなドライビングと奥の深さが見えてくるかもしれません。

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