低回転型エンジンは高回転型エンジンより低燃費でメリットが数多い

V12エンジンブロック

今も昔も、スポーツバイクやスポーツカーのエンジンは高回転型ガソリンエンジンが鉄板です。他方、トラックやバス、建設機械は低回転型ディーゼルエンジンを搭載しています。

パッセンジャーカーに搭載されているクリーンディーゼルエンジンはパワーを出すために、トラックや観光バスよりは高回転型です。

しかし、クリーンディーゼルエンジンはディーゼルエンジンである以上、低回転型エンジンに属します。

昔から、大型船舶のエンジンは低回転型の2サイクルディーゼルエンジンが主流。

高回転型ガソリンエンジンと低回転型ディーゼルエンジンは、それぞれメリットとデメリットがあってトレードオフの関係。それらの違いを見ていきましょう。

ガソリンエンジン vs ディーゼルエンジン

高回転型エンジン

BMW ALPINA V12エンジン

昔からスポーツバイクのエンジンは高回転型ガソリンエンジンが主流。スポーツバイクのエンジンの多くはレッドゾーンが10,000rpm以上に設定されています。BMWのMシリーズも伝統的に高回転型ガソリンエンジンを搭載しています。

遠い昔、排気量250ccのバイクに17,000~18,000rpm以上回るDOHC直列4気筒エンジンが搭載されていました。HONDAのCBR系やYAMAHAのFZR系です。

ガソリンエンジンを17,000~18,000 rpmまで回すと、快音の域を越えて、

「ウォーーイ」

「やめてくれー」

なんて具合に、苦痛を伴うようなエンジン音が峠道でこだましました。エンジンの振動がフレームに伝わり、ビリビリした微振動がライダーに伝わってくるのが超高回転エンジンの証。

そこまでエンジンを高回転まで回すメリットは、一体何?

高回転型エンジンのメリット

NAガソリンエンジンの場合、最高出力(PS or kW)を上げるには、排気量を増やしてショートストローク化し、最高回転数を上げればいいのです。

そして、ハイカムシャフトを組んでシリンダーの吸気量を増やすことで、最高出力を上げることができます。

高回転型ガソリンエンジンの最大のメリットは、

一言で言うと、最高出力を上げることができます

よって、ゼロヨンタイムや最高速度、サーキットのラップタイムを追及するのであれば、高回転型ガソリンエンジンの独壇場です。

名機と呼ばれるエンジンはエンジンフィールが滑らかで、独特のサウンドを響かせ、高回転域でカムに乗るエンターテイメント性も兼ね添えています。今も、日産のRBやホンダのVTEC、三菱の4G63エンジンの愛好家が少なくないと思います。

あと、バイクのエンジンを含めると、単気筒エンジンからV12、W16気筒エンジンまで、ガソリンエンジンはディーゼルエンジンに比べて静粛性が高い特徴があります。

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高回転型エンジンのデメリット

世の中、高回転型エンジンの愛好家が少なくないと思います。内燃機関を搭載した乗り物にスポーツ性とスピードを求めると、高回転型エンジンが優位に立ちます。

しかし、高回転型エンジンは無視できないデメリットもあります。

・低速トルクが細い。

・エンジンレスポンスの悪化。(アイドリングからパワーバンドに入るまで時間が必要)

・燃費の悪化。

・エンジンの常用回転数が高く、メカノイズが大きい。

・サーキット走行等の高回転時、油温と水温が上がりやすい。

ピストンエンジンを高回転まで回し、可能な限り最高出力を絞り出そうとすると、無視できないデメリットが顔を出します。

高回転型ガソリンエンジンはアイドリングからパワーバンドに入るまで、クランクシャフトからコンロッド、ピストン、バルブ、カムシャフト、カムチェーンの動きを加速させる必要があります。

これらムービングパーツの動きを加速させるためにも燃料が必要。

また、高回転型ガソリンエンジンのバルブサージングを回避するために、バルブスプリングのレートを強化する必要があります。これにより、低回転のアイドリングが苦手なエンジンと化します。

当然、機械を高回転で動かすと各部の負担が大きくなるため、自ずとエンジン寿命が短くなります。

高回転型ガソリンエンジンは最高出力を優先させて、他の性能には目をつぶったスポーツエンジンと言えます。

低回転型エンジン

メルセデス・ベンツCクラス-W205ディーゼルエンジン

低回転型エンジンと言えば、ディーゼルエンジン。

昔からトラックやバス、建設重機、船舶、軍用車の世界ではディーゼルエンジンの独壇場です。

未だディーゼルエンジンは「うるさい」「黒い排気ガス」といったネガティブなイメージがあるかもしれません。

欧州の各自動車メーカーはかつてのディーゼルエンジンの諸問題に対する答えとして、クリーンディーゼルエンジンを開発し、市場に投入してきました。

パッセンジャーカー用のクリーンディーゼルエンジンが欧州で普及し、日本ではマツダがディーゼルエンジン開発に経営資源を投下してきました。

低回転型ディーゼルエンジンのメリット

低回転型ディーゼルエンジンのメリットはドライバビリティが良く、エンジンを回さなくても車両を力強く前に押し出してくれる特徴があります。

・低速トルクが太い。

・エンジンレスポンスがいい。(高回転まで回す必要が無い。)

・燃費がいい。(熱効率がいい)

・ターボとの相性がいい。

・燃料費が安い。

・CO2排出量が少ない。

・エンジン寿命が長い。

低回転型ディーゼルエンジンのデメリット

メルセデス・ベンツの「OM651」DOHC直列4気筒、2,200ccクリーンディーゼル・ターボエンジンの最高出力は、

170PS/3,000~4,200rpm。

40.8kg・m/1,400~2,800rpm

のトルクを発生します。

40.8kg・mのトルクはV8、4,000ccガソリンエンジンの出力に匹敵します。

ディーゼルエンジンはガソリンに比べてロングストローク&高圧縮で、低回転域で太いトルクを発生します。一方、高回転域までエンジンを回せないため、最高出力を上げられないのです。

・最高出力を上げるのは難しい。

・エンジンノイズと振動。

・エンジンの重量増。

・コスト高。

ディーゼルエンジン搭載車をドライブすると、エンジンの低速トルクが太いこともあり、とてもドライブしやすい印象を受けます。

特に、長距離を走行する場合、低速トルクが太いエンジンはドライバーの疲労を軽減してくれます。坂道や追い抜き、追い越しのシーンで低速トルクが太いディーゼルエンジンは粘り強いトルクで車体を押し出してくれます。

ディーゼルエンジンは発進と停止を繰り返す市街地から高速道路、ワインディングロードまで実用性が高いエンジンと言えます。

高回転型エンジンと低回転型エンジンを比較すると、低回転型エンジンの方が実用性が高く、メリットが多いのです。

モータースポーツの世界では、高回転型ガソリンエンジンやターボエンジンの独壇場ながら、一般公道では低回転型エンジンの方がメリットが多いと言えます。

クリーンディーゼルエンジンの排気ガス処理

クリーンディーゼルエンジンの排気ガス処理に関しては、各自動車メーカーによって考え方とアプローチが異なります。

メルセデス・ベンツ

エンジンの圧縮比を高く設定し、排気ガスにAdBlue(尿素水溶液)を噴射することでNOx(窒素酸化物)を自動車排出ガス規制をクリア。

BMW

EGRと呼ばれる、排気ガスをエンジン内部に戻すことで自動車排出ガス規制をクリア。

MAZDA

エンジンの圧縮比を低く設定し、後処理無しで自動車排出ガス規制をクリア。

番外編-SKYACTIV-Xエンジン by MAZDA

マツダのSKYACTIV-Xエンジンには、HCCI燃焼と呼ばれる技術が投入されています。これは、予め空気と燃料を混合し、圧縮によって着火させるエンジン。

燃料はガソリンながら、燃料を燃やす方法はディーゼルエンジンと似ています。

これは、半分はガソリンエンジンで残りの半分はディーゼルエンジンという、両エンジンのいいとこ取りしたエンジンとも言えます。

SKYACTIV-Xエンジンは2019年以降のモデルから搭載予定のようで、ピストンエンジンのブレイクスルーを起こすのか注目されます。

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