セルフアライニングトルクが弱いメルセデス・ベンツ-ステアリングの謎

メルセデス・ベンツAクラス、ステアリングホイール/W176

メルセデス・ベンツの特徴の1つとして、ステアリングホイールのセルフアライニングトルク(※SAT : Self-Aligning Torque)が弱めです。

セルフアライニングトルクとは、

例えば、Uターン時のような低速域で、大舵角の状態からステアリングの戻りがゆっくりです。その時、ドライバーはステアリングを中立位置へ戻してあげるアクションが必要です。

ネット検索すると、メルセデス・ベンツのセルフアライニングトルクに関する記事が乏しいこともあり、呟いてみましょう。

ステアリングのセルフアライニングトルク

「操舵感」、ステアリングフィールは同一メーカーでも車種毎に違いがあります。

近年、メルセデス・ベンツも電動パワーステアリング採用車が増加し、従来の油圧パワーステアリング採用車とはステアリングフィールに若干の違いを感じるようになりました。

これは時代の流れですけど、電動パワーステアリングを採用しているメルセデスでも、ステアリングフィールは従来の油圧パワーステアリング採用車と大差はありません。

電動パワーステアリングを採用しているメルセデスでも、セルフアライニングトルクは弱めの味付けが残されています。

セルフアライニングトルクが弱いという事は、特に低速域で左右にステアリングホイールを回した後、ステアリングから手を離すとセンターに戻ろうとする力が弱いのがメルセデス・ベンツ独特の味付けです。

メルセデス・ベンツAクラス-W176-ステアリングホイール

(※)セルフアライニングトルク(SAT : Self-Aligning Torque)

自動車がコーナーリング時、タイヤにはCF(コーナリングフォース)が発生しています。

この時、タイヤにはスリップアングルを元の直進状態に戻そうとする力が発生します。これはセルフアライニングトルク(SAT)と呼ばれます。

コーナーリング中、ドライバーがステアリングから軽く手を離すと、ステアリングホイールが中立位置に戻ろうとする動きはセルフアライニングトルクによるものです。

車種によって、セルフアライニングトルクに強い、弱いの違いがあり、これはキャスター角やサスペンションのジオメトリー、電動パワーステアリングのセッティング、駆動方式、タイヤ等によっても変わってきます。

ハイキャスターでもSATが弱い謎

メルセデス・ベンツC200-w204-フロントタイヤ

メルセデス・ベンツのフロントサスペンションのキャスター角は伝統的に大きく、ハイキャスターです。フル転舵した状態でフロントタイヤを観察すると、凄まじいネガティブキャンバー角が付きます。

メルセデス・ベンツのステアリングはコーナーリング中、最後の最後まで操舵が効いてくれる特徴があります。これは、フロントサスペンションのジオメトリーと深い関係があると思います。

ハイキャスターの自動車は直進性が高まるため、本来、ステアリングホイールを左右に回しても中立位置に戻ろうとする力が強めになります。

ところが、メルセデスのステアリングは伝統的にセルフアライニングトルクが弱めです。

ここがメルセデス・ベンツの謎です。

これ以上の探究はサスペンション&操舵関係設計のエンジニアの領域ですから、よろしければ、ページ下段のコメント欄より情報共有できれば幸いです。

セルフアライニングトルクの強弱

セルフアライニングトルクが強めの自動車の運転

セルフアライニングトルクが強めの自動車を運転すると、コーナーリング中の保舵力が重めになる傾向があります。また、電動パワーステアリングのセッティングによっては、同様に保舵力が重めの自動車もあります。

この場合、ドライバーはステアリングホイールをしっかり押さえている必要があります。

また、Uターン時、自動車が180度向きを変えつつ、ステアリングホイールが中立位置に戻って行く時、ステアリングが戻りすぎないように適切に操作する必要があります。

この時、自動車が180度向きを変えつつある状態でアクセルペダルを踏むと、更にSATが強くなります。

このような操舵感は車種によって違うため、レンタカーやカーシェアリング、代車等をドライブする際、少々慣れが必要です。

セルフアライニングトルクが弱めの自動車の運転

メルセデス・ベンツのような低速域でセルフアライニングトルクが弱めの自動車は、ステアリングホイールを回した後、適度な反力とゆっくりとしたスピードでステアリングが中立位置に戻ってきます。

生まれて初めてメルセデスを運転する際は低速域でステアリングホイールを回した後、意識的にステアリングを中立位置に戻してあげる必要があります。

メルセデスのSATに慣れてくると、ステアリングホイールが中立位置に戻っていくスピードと車速がちょうどマッチするバランスポイントが見えてきます。

つまり、交差点でステアリングホイールを回した後、ステアリングから手を放しても、アクセルコントロールだけで自動車は右左折しながら上手い具合に直進状態に戻っていきます。

最後に

高速道路

メルセデス・ベンツのAクラス(W176)は電動パワーステアリングを採用しているものの、セルフアライニングトルクは従来の油圧パワステと同様、弱めです。

電動パワーステアリング採用車で、このようなステアリングフィールを実現していることからも、メルセデスのSATセッティングには設計上の深い理由があるのかもしれません。

長距離をドライブしても疲労が少ない自動車として、メルセデスは最右翼的な存在。メルセデスには、ドライバーと乗員の疲労を低減するために様々な奥深い技術が投入されています。

SATのセッティングにも秘密が隠されているのかもしれません。

PS

日本車の中で一般道を長距離運転すると、腕と肩に疲労を感じる場合、電動パワーステアリングのセッティングに原因があるのかもしれません。

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コメント

  1. ターミナル より:

    こんにちは。
    BMWのブログが多い中、このようなメルセデス主体のブログを発見して、とても楽しく拝見させて頂いております。
    本文とは無関係ですが、一ファンとして応援しています。是非今後も続けて下さいませ。

    • deu-car より:

      当ブログへのアクセスならびにご意見、誠にありがとうございます。

  2. Ta より:

     ドイツのパワステの業界で末席を汚している者ですが、メルセデスのステアリングの戻りが比較的弱めなのは知りませんでした。油圧でも電動でもその力配分を決めるのはOEMなので、まぁそういう方針なんでしょうね。

    • deu-car より:

      コメントありがとうございます。

      パワステの味付けの方針があるようですね。