なぜメルセデス・ベンツや欧州車のドアヒンジの多くは鋳造製,鍛造製?

メルセデス・ベンツCクラスC200(W204)鋳造製ドアヒンジ

多くの日本車はプレス製ドアヒンジを採用しています。

ドアを開けて上下方向に動かしてみると、ドアヒンジと取り付け部が微妙に捩じれることが目で確認できます。ドアヒンジは地味なパーツながら、自動車にとって大切なパーツなのではと思うのです。

鋳造製、鍛造製、鋼材から削り出しのドアヒンジ

メルセデス・ベンツのドアを開けると、目に入ってくるパーツが鋳造製(鍛造製?)のごついドアヒンジ。

この鋳鉄製の鋳造品/鍛造品は見るからに剛性が高そうなパーツ。明らかに、このパーツはコスト高。

それでも、メルセデスや欧州車の多くは鋳物製や鍛造製、鋼材から削り出しのドアヒンジを採用しています。

なぜ、多くの欧州車が鋳造製や鍛造製、鋼材から削り出しのドアヒンジを採用しているのかネット検索しても、明確な答えを得ることができません。

多くは、このような内容です。

・鋳造製や鍛造製、鋼材から削り出しのドアヒンジを採用することで、ドアの開閉時の感触と音が高級になる。

・プレス製ドアヒンジはドアの重みで伸びて甘くなってしまう。

これは本当だろうか?と首をかしげてしまいます。

ドアヒンジとドアの開閉音、感触の関係

まず、ドアの開閉音と感触はドア内側の外周に取り付けられているゴム製のウェザーストリップの設計やドア本体の構造、鋼板の厚さ、材質、内張りによっても変わります。

極端な話、鋼板が薄い軽自動車のドアに鋳造製や鍛造製のドアヒンジを装着しても、ドアの開閉音や感触が極端に変わるとは思えないのです。

軽自動車から普通乗用車まで、鋳造製や鍛造製のドアヒンジを採用することで、ドアの開閉音と感触が激変するとは思えないのが管理人の考えです。

プレス製ドアヒンジは簡単に甘くならない

管理人が20代の頃、NISSANのS13シルビアを所有していました。

2ドア車のドアは4ドア車のそれよりも大きく、重量も増します。プレス製ドアヒンジにかかる負荷も増します。しかし、5年間で65,000km余り走行しても、ドアの開閉に不具合は一切ありませんでした。

他に、かつて我が家のHONDA、4ドアセダンは10年100,000km以上、家族の移動手段として働いてくれました。その間、プレス製ドアヒンジが甘くなるような不具合は出ませんでした。

なお、ODOメーターが80,000km台から、走行中にドア周りからわずかな軋み音が出始めました。これは、ボディ剛性の低下が関係しているのでしょう。

いずれにしても、管理人の父が所有していた車を含めて、ドア下がりが原因でドアの開閉に不具合が出た記憶がありません。

昭和の時代、プレス製ドアヒンジの剛性不足等が原因でドア下がりが発生するケースがあったそうですけど、平成の時代、「ドア下がり」なんて言葉を聞きませんし、若年層は知らない言葉ではないでしょうか。

4mm厚以上の分厚い鉄板をプレス成型してプレス製ドアヒンジが製造されている以上、プレス製ドアヒンジは簡単に甘くはならないと思うのです。

自動車のドアの支持剛性

メルセデス・ベンツCクラスC200(W204)ドアヒンジ(下部)

メルセデス・ベンツCクラスC200(W204)ドアヒンジ(下部)

ドアの支持剛性を考えれば、鋳造製、鍛造製、鋼材から削り出しのドアヒンジはプレス製ドアヒンジより圧倒的に上です。

自動車のドアは上下2つのドアヒンジとドアキャッチャーの3点で支持されています。自動車のボディは走行中、多方向から複雑なストレスを受けています。

自動車のドアは開閉可能な剛体として考えると、3点の支持剛性が高い方がボディ剛性の向上に繋がります。かつてのCクラス、W202のドアキャッチャー(ロッキングアイ)とドアはダボ形状のものでした。

次に、大きな事故が発生した場合、鋳造製、鍛造製、鋼材から削り出しのドアヒンジであれば、ドアが根元から取れてしまう可能性が低くなるのではないでしょうか。

メルセデス・ベンツC200-W205ドアヒンジ

メルセデス・ベンツC200-W205ドア上ヒンジ

メルセデス・ベンツC200-W205ドアヒンジ

メルセデス・ベンツC200-W205ドア下ヒンジ

JNCAPの衝突安全性能

JNCAPの試験項目の中でオフセット前面衝突試験があります。

これは、試験車を時速64kmでアルミハニ力ムに運転席側の一部(オーバーラップ率40%)を前面衝突させる試験です。

JNCAPの衝突安全性能は特定の条件下でテストされます。確かに、それとまったく同一の条件で事故が発生すれば、乗員の生存率は高いことでしょう。

しかし、世の中の交通事故は千差万別。

一般公道で、ある自動車が時速70km、オーバーラップ率25%で他の自動車に衝突した場合、乗員の安全性が確保されるかどうかは、何とも言えないのではないでしょうか。

同時にドアがどのように変形するのかは誰も分かりません。

YouTubeで検索すると、交通事故現場でドアが根元から取れてしまっているシーンが数多く見られます。

欧州のエントリーモデルも形鋼ドアヒンジを採用

メルセデス・ベンツCクラスC200(W204ドアヒンジ(上部)

メルセデス・ベンツCクラスC200(W204)ドアヒンジ(上部)

メルセデスのAクラスも鋳造製(鍛造製?)のドアヒンジを採用しています。フォルクスワーゲンの100万円台のエントリーモデルでさえ、鋼材から削り出しのドアヒンジを採用しています。

もちろん理由があるからこそ、欧州の各車は鋳造製、鍛造製、鋼材から削り出しのドアヒンジを採用しているに違いありません。

他方、日本車のDセグメント以上であっても、ほとんどはプレス製のドアヒンジを採用しています。

この違いは、いったい何でしょう?

いずれにしても、鋳造製、鍛造製、鋼材から削り出しのドアヒンジを採用することで、ボディ剛性面で明らかに有利です。

そして、事故の発生時を考えると、剛性が高いドアヒンジの方が安全性が高いと思われます。

欧州の100~200万円台の自動車でも、全てではありませんが鋼材から削り出しのドアヒンジを採用しています。

あくまで憶測の域を出ませんけど、ドイツのアウトバーンのような高速道路において、プレス製のドアヒンジではボディ剛性の確保の問題と万一の場合、安全性を担保できないのかもしれません。

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歴史的にボディ剛性が高い車の代表はメルセデス・ベンツ。メルセデスは伝統的にボディ剛性の確保に拘るメーカー。その理由は1つや2つではありません。高いボディ剛性は自動車にとって、上質な走りや乗り心地以外にも、数多くのメリットをもたらします。
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