日産自動車のR35GT-Rの元開発者と言えば、水野和俊氏。
水野氏がENGINEのImported New Car Test Drive 2014に登場しています。自動車のエンジニアとしての目線でスーパーな自動車を分かりやすく説明、評価しています。
水野氏は自動車開発の現場で数々の経験を積んできたからこそ、言葉の端々に説得力があります。
この動画で水野氏が超スーパーなメルセデス・ベンツSクラス(メルセデスAMG S63 4MATIC ロング)を評論しています。
水野氏が評価、設計が深いメルセデス
この動画で、水野氏のメルセデス・ベンツSクラス(メルセデスAMG S63 4MATIC ロング)の評価をまとめてみました。
メルセデス・ベンツは空力の教科書
- フロントグリルとエンジンフードに僅かな段差を作ることで空力の向上。
- メルセデス・ベンツのタイヤとボディが面一(つらいち)なのは、空力が良くなるため。同時に、空気の流れでブレーキを冷却し、ダウンフォースを発生させている。
- ボディの側面と上面に流れる風がぶつからないような面構成で棚が作られている。
- リヤも同様の面構成で棚が作られていて、後方に渦ができないようにデザインされている。
- 220~230km/hでタバコを吸いながら、片手運転ができるクルマはメルセデス。
ステアリング系の精度の高さ
- ブッシュ、ステアリングラック、コラムにガタが全く無い。
- 極低速域でもステアリングを左右に回すと、フロントが反応する。よって、Sクラスであっても、手足のように動いてくれる。
サスペンションバランスがパーフェクト
- 急ブレーキを踏みながらステアリング操作しても、リヤタイヤの接地性が保たれているため、車体が安定している。
- フロントとリヤサスペンションの設定がパーフェクトであるから、ピッチングが少なく、ドライバーの目の疲れが少ない。
メルセデス・ベンツのエンジンルームの秘密
- エンジンを囲むようにゴム製のパッキンが装着されているのは、エンジンルームに負圧を発生させてダウンフォースを発生させるため。
水野氏の総評
クオリティの高いクルマを作っているエンジニア達は作業でクルマを作っていない。彼らはマインドと主張を持ってクルマを作っている。日本のエンジニアは会社という枠をはみ出して、マインドを持ってクルマを作ってほしい。
いいクルマをドライブすると、作り手のマインドが伝わってくる。
ポルシェをドライブすると設計者が頭に浮かび、メルセデスをドライブすると職人が頭に浮かぶ。作りてのマインドがドライバーに伝わってくる。心を持って美しいクルマを作ると、楽しさに変わるよ。
近年、欧州では個性的なクルマが増えて、面白みが増しているよ。個性のあるクルマを自分たちの主張で作ると、楽しいクルマが増えていくよ。
最後に水野氏がこのように呟いていました。
「メルセデス・ベンツSクラスを超える自動車は、何十年と出てこないかな?」
・・・
日本車の立ち位置とは?
当ブログの管理人は日本車がつまらなくなってしまったと思います。管理人は日本生まれの日本育ちで、国籍はもちろん日本人。
日本人である以上、日本車を応援したいのです。日本のどこの自動車メーカーでもいいから、応援したいのです。
しかし、応援したい日本車があまり多くありません。言い換えますと、管理人が乗りたいと思う日本車が少ないのです。
モノづくりの世界で徹底的にコストダウンして売価を高く設定すれば、メーカーは儲かります。株価上昇の材料になるでしょうし、株主から高く評価されます。社員も潤います。
しかし、お客さんはバカではありません。ま、バカなお客さんがいるかもしれませんけど、賢いお客さんもいます。
自動車を購入後、しばらくすれば、お客さんは何かに気付きます。クルマをよく知らないお客さんだって、「んー?」と気付きます。
その後、どうなるでしょう?
魅力的な日本車が出てきてほしい
もし、あなたが自動車業界の方でしたら、上司に話をしてください。自動車メーカーで働いている方でしたら、同様に上司に話をしてください。
近年、売れ筋の日本車はコンパクトカー、ミニバン、軽自動車ばかり。なんとも生活感が漂う日本車が目につきます。
後ろを振り向けば、韓国車がじわじわとクオリティを上げつつあるようです。日本で韓国車は売れませんでした。しかし、北米では韓国車が結構、走っています。
中国車だって、20~30年のスタンスで考えれば、価格を含めてダークホース的な存在。
日本車はどこへ向かっているのでしょうか。
日産自動車はルノーの一員
日産自動車は既に日本の会社ではありません。三菱は日産に吸収されました。残すところは、トヨタ、ホンダ、スバル、マツダ、スズキさんの肩にかかっています。
適切なコストを掛けて、自動車を作ってください。
経営陣が自動車づくりにお金をかけない経営を続けていたら、日本車はやがて・・・
クオリティの高い自動車を作れば、お客さんは分かります。感度がいい人は試乗で、ちょっと運転するだけでも分かります。そして、クルマに関する知識がほとんど無い人でも分かる性能があります。
それは、自動車の乗り味、車体の動きです。
まだ、日本車に期待
ここで再認識したいのは、日本人は世界の中で高い能力を持つ民族。
日本の夏は高温多湿、冬は北陸から東北、北海道にかけて雪が降り積もります。自動車のような工業製品にとって、日本は過酷な環境です。
産油国の中東エリアでは、最高気温は40℃以上。夏の地表温度は50℃を超えます。湿度は年間を通して50~70%ほど。そんな拷問状態の環境下で、トヨタのランドクルーザーに代表される日本車は現地で神扱いです。
まだ、管理人は日本車の将来に期待していますよ。
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