タイヤ&ホイールのインチアップ&インチダウンのメリット,デメリット

ワークWorkアルミホイール

タイヤとホイールのインチアップはインチアップ派にとっては、定番のドレスアップメニューではないでしょうか。

ドレスアップということはイコール、車の見た目も重要。

車に対する好みや価値観はオーナー毎に千差万別ということもあり、カスタマイズは法の範囲内で自由な世界。しかし、バネ下のタイヤとホイールは車に大きな影響を与えるパーツ。

そこで、インチアップの本来の目的とメリット&デメリット、そして、インチアップとは真逆のインチダウンのメリットとデメリットについて考えてみたいと思います。

インチアップ

BMW レーシングカーのホイール

タイヤとホイールのインチアップ

常識的な内容ながら、インチアップとはタイヤの外径はほぼ同じにして、タイヤの偏平率を下げて(タイヤを薄くして)ホイール径を大きくすること。

例えば、日本のSUPER GT300に参戦しているレーシングカーのホイールサイズは18インチ。

そもそも、ホイール径を大きくする理由は大径ブレーキローターをホイールに収めるため

カーレースの世界では、ブレーキ性能も重要課題。円盤状のブレーキローターの直径を大きくすることで、確実にブレーキ性能を向上させることができます。そのためには、大径ホイールが必要になります。

市場では、レーシングカーの大径ホイールの格好良さとイメージが先行し、世の中に大径ホイールと低偏平タイヤ(ロープロファイルタイヤ)が増えてきた経緯があります。インチアップは息が長いトレンドと言えます。

確かに、タイヤとホイールメーカーは大径サイズの製品を製造販売することで、より高い付加価値を付けることができます。しかし、実利的には、大径ホイールと低偏平タイヤは一筋縄ではいかない面もあります。

インチアップのメリット

メッキアルミホイール

・ドレスアップに貢献

・コーナーリング性能の向上

・タイヤのグリップ性能の向上

・ステアリングレスポンスの向上

16インチから17インチ、18インチ、19インチへとインチアップすることで、タイヤがどんどん薄くなっていきます。タイヤが薄くなることで、ドライバーのステアリング操作に対して車がクイックに反応します。

インチアップすることでタイヤのたわみ量が少なくなりますから、カーブで踏ん張りが効くようになります。レースやスポーツ走行ではインチアップが定番メニュー。

つまり、インチアップは車のドレスアップのみならず、スポーツ性を高めるための方法。

インチアップのデメリット

・乗り心地の悪化

・ロードノイズの増大

・燃費悪化

・アルミホイールにガリ傷が付きやすい

・ランニングコストの上昇

インチアップしてタイヤが薄くなれば、タイヤが路面の凸凹を吸収しきれず、振動が車体に伝わって乗り心地が悪化します。

タイヤが薄くなると、路面から受ける振動がよりホイール → ハブ → サスペンション → アッパーマウント部へ伝わり、車内に「ゴー」というロードノイズが伝わりやすくなります。

次に、ハイトが低く薄いタイヤを履いていると、歩道への乗り入れや僅かな段差でホイールに傷が付きやすくなります。センターラインに埋め込んであるキャッツアイは大径ホイールにとって凶器と化します。

タイヤの偏平率が60や65ならば、路面の段差にそれほど気を使う必要は無いものの、50や45タイヤともなると路面の段差に神経を使う必要があります。

ショッピングモール等で駐車車両の足元を観察すると、15や16インチのホイールリムにガリ傷を見かけることはほとんどありません。ところが、17インチ以上のホイールにガリ傷を見かける事が多くなります。

大雑把にSUVを除く普通車のタイヤの直径が約60cmとしますと、16インチを超えて17インチ以上のホイールを履くと、急速にガリ傷が付きやすくなる傾向があると思います。

最後に、低偏平タイヤほど販売価格が高くなり、トータルのランニングコストが上昇します。

アジアンタイヤが日本でシェアが伸びてきた背景として、タイヤのランニングコストを下げることができ、韓国勢に代表されるようにアジア圏のタイヤ性能が向上してきたことが挙げられます。

純正のタイヤサイズから1インチアップ程度では大きな変化は出ないものの、2インチ以上のインチアップは乗り心地の悪化やロードノイズ等の問題が顔を出すようになります。

コンタクトパッチの変化

次に、インチアップするとタイヤがワイド化することが多いため、タイヤの接地面が横長になります。

タイヤの接地面はコンタクトパッチと呼ばれ、これが横長になるとワンダリングが出やすく、路面変化によって接地面が変化しやすくなります。

Contact patch of tires - タイヤのコンタクトパッチ

インチアップによるコンタクトパッチの変化 – Before → After

インチアップのBeforeとAfterを比べてみましょう。

インチアップしてワイドタイヤに履き替えると、コンタクトパッチは横長になります。(上図、右のタイヤ)そして、縦方向(タイヤの回転方向)のコンタクトパッチが短くなります。

コンタクトパッチが横長になると、タイヤが小石やマンホールの出っ張りを踏んだ時や轍(わだち)路面でフロントタイヤが左右方向へ取られやすくなります。これがステアリングホイールのワンダリングに繋がります。

市販車はこのあたりも十分考慮して設計されていますから、ほとんど問題にはならないと思います。

ただ、純正タイヤとホイールサイズから2インチ以上インチアップすると、ワンダリングの影響が出る場合があります。また、インセットを変更してツライチを狙っていくと、ワンダリングが出やすくなる傾向があります。

インチダウン

タイヤとホイールのインチダウン

インチダウンとは、インチアップとは逆。

インチダウンとはタイヤの外径はほぼ同じにして、タイヤの偏平率を上げて(タイヤを厚くして)ホイール径を小さくすること。

愛車をインチアップするオーナーはいても、インチダウンするオーナーは少ないと思われます。

インチダウンのメリット

・乗り心地が良くなる

・ロードノイズの減少

・ワンダリングの減少

・ランニングコストの低減

インチダウンのメリットはインチアップのデメリットの真逆と言えます。

車種によっては、純正タイヤとホイールサイズでも、少々やりすぎの感がある場合もあります。純正サイズから1インチダウンするだけで、諸問題が好転することもあります。

なお、ブレーキローターの直径とブレーキキャリパーの形状によって、インチダウンが不可の車種もありますから、タイヤ&ホイール販売店での相談をお勧めします。

インチダウンのデメリット

・ルックスの鈍化

・コーナーリング性能の低下

・ステアリングレスポンスの低下

インチダウンによりタイヤ幅がほぼ同じであれば、エアーボリュームが増えます。タイヤのハイトが高くなることで路面の凸凹を吸収し、しなやかな乗り味へと変化します。

インチダウンによりタイヤのハイトが高くなり、見た目はボテっとした印象を受けるかもしれませんけど、車がマイルドな動きになります。

スタッドレスタイヤを購入する際、純正タイヤサイズと同一サイズで揃えるのが基本。中には、スタッドレスタイヤの購入時にインチダウンを選ぶオーナーもいます。

ただでさえ、雪道の路面は凸凹の連続ですから、インチダウンした方が乗り心地を確保しやすく、タイヤの路面に対する追従性も良くなります。結果的にタイヤのグリップ力に粘りが出て、雪道のドライブが楽になります。

走行中、タイヤの接地面は変化し続けている

アスファルト路面

タイヤとアスファルト路面が接触している接地面(コンタクトパッチ)の面積と形状は加速、巡航、減速、コーナーリングによって常に変化しています。

巡航中のコンタクトパッチ

巡航中のタイヤのコンタクトパッチ

FR車の前後重量配分が約53:47、FF車の前後重量配分が約60:40としますと、フロントタイヤのコンタクトパッチの面積はリヤタイヤより大きくなります。

右コーナリング中のコンタクトパッチ

右コーナーリング中のタイヤのコンタクトパッチ

車がコーナリング中、4本のタイヤのコンタクトパッチは”おにぎり”のような形に変化します。

(上図は、あくまでイメージです。車速やカーブの半径、タイヤサイズや車種によってコンタクトパッチの形状は異なります。)

この理由は、コーナーリング中、車体のロールやサスペンションのジオメトリーが変化するからです。

右コーナリング中、車の荷重は遠心力により左へ移動するため、左フロントと左リヤタイヤのコンタクトパッチの面積は右側の前後タイヤより大きくなります。

また、右コーナリング中の加速や減速によっても、4本のタイヤのコンタクトパッチの面積が変化していきます。もちろん、FR, FF, RR, MRの駆動方式によっても、各タイヤのコンタクトパッチの面積は状況によって違ってきます。

なお、上図は舗装したてのフラットな路面が前提です。実際は路面が荒れている道路が多いため、コンタクトパッチは更に複雑に目まぐるしく変化していきます。

このことからも、タイヤのグリップ力はタイヤサイズやコンパウンドだけではなく、トレッドの路面に対する追従性やタイヤ全体のケーシングの設計によっても左右されることが見えてきます。

シビアな低偏平ワイドタイヤ

各タイヤのコンタクトパッチの面積には限界があります。

インチアップしてワイドタイヤを装着することで、加速、巡航、減速時のコンタクトパッチの面積が大きくなります。よって、加速時にエンジンパワーを路面に伝えやすく、ブレーキング時に高い減速Gが出やすくなります。

しかし、コーナーリング中、車体のロール量やサスペンションのジオメトリー変化によって、4本のタイヤのコンタクトパッチの面積が変わってきます。

タイヤが持つグリップ力を最大限に引き出すためには、コーナーリング中であっても、可能な限りタイヤ4本のコンタクトパッチの面積を確保する必要があります。

そのためには、ワイドな低偏平タイヤの装着だけではなく、高剛性ボディやサスペンションの取り付け部の剛性、サスペンションの設計が大きく関係してきます。ワイドな低偏平タイヤを履きこなすためには、ボディとサスペンション性能が大きく関係します。

一般的には、インチアップの目的の多くはドレスアップですから、タイヤのコンタクトパッチを意識する事は少ないと思います。純正タイヤとホイールサイズから1インチアップならば、車種にもよりますけど大きな問題は出ないと思います。

かつて、管理人が純正タイヤサイズから1インチアップした時、ロードノイズの変化はほとんど感じられず、乗り味が引き締まった印象を受けたものの、乗り心地の悪化はあまり感じませんでした。

ところが、2インチ以上のインチアップは諸問題が出てくることもあり、ドレスアップを優先するオーナーは別として、慎重に考えたいものです。

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