自動車の車内で使われる電装品の電気はハイブリッドカーを除き、全てオルタネーターで発電して供給されています。
自動車のエアコンやカーナビ、オーディオ、ヘッドライト、ワイパーなどの電装品のスイッチをONにしても、電力会社から請求書が届くわけではありません。
そのようなこともあり、カーナビ画面が表示されたまま、走行している車両を多く見かけます。
自動車のエンターテイメント系や各種電装品が増加の一途をたどってきたこともあり、オルタネーターの負担も比例して増加してきました。
発電し続けるオルタネーター
エンジンスタート後、
ECUやTCU、メーター照明、カーナビ、オーディオ、エアコン、電動パワーステアリング、パワーウインドウ、ヘッドライト、テールランプ、ウインカー、ETCユニット等々、各種電装品はオルタネーターで発電された電気によって作動します。
トヨタのストロング・ハイブリッドは発電の仕組みが異なるため割愛します。
家の中で照明、TV、エアコン、オーディオ、PC等を使えば、それだけ電気使用量が増えて基本料金に加算されます。
ところが、自動車のヘッドライトやカーナビ、エアコンやオーディオ、その他の電装品のスイッチをONにして電気を使っても、家に請求書は届きません。自動車の車内で使う電気は、あたかも無料のように錯覚しがち。
自動車のエレクトロニクス化が急速に進み始めたのは2,000年前後。それ以降、比例するように、車内の電力使用量が増加傾向にあります。
車内で複数の電装品を使えば電力消費が増え、オルタネーターは発電量を増やす必要があります。
発電量を増やすためには、それだけシリンダー内にガソリンや軽油を噴射してエンジンを回し、オルタネーターを駆動させる必要があります。
つまり、車内で電気を使えば使うほど、燃費は確実に悪化します。
よって、カーオーナーはガソリンスタンドで「燃料費」+「車内の電気使用料」も目に見えない形で上乗せされて支払っているのです。
オルタネーターの仕組み
電気自動車の航続距離
さて、ここで日産自動車の電気自動車リーフと三菱自動車のi-MiEVの航続距離を確認してみます。
車名 | グレード | 航続距離(km) |
三菱 i-MiEV | M | 120 |
X | 172 | |
日産
LEAF | 24kWh | 228 |
30kWh | 280 |
これらは国土交通省の審査値のため、エアコンやカーナビ等の電装品はOFFの状態でテストを受けています。
電気自動車の「電費」は走行条件や季節によって変化します。電費を左右する諸条件の中で、冬場、電気自動車がヒーターを使用すると、電費が極度に悪化します。
例えば、日産リーフでヒーター(ヒートポンプシステム)を使用すると、航続距離は到底100kmに届かないデータが報告されています。
当然、電気自動車には熱源がありません。
電気自動車がヒーターを使用する場合、リチウムイオン電池に蓄えられている電気を利用して熱源を作る必要があります。
これにより電力消費が高まるため、電気自動車の航続距離が極端に短くなってしまいます。また、夏場のエアコン使用でも、航続距離は短くなります。
ピストンエンジンで動く自動車はエンジンという巨大な熱源があるため、ヒーターを使用しても電力消費はファンモーターくらい。
それを考えますと、電気自動車がピストンエンジンを搭載した自動車と同等の快適性を確保しながら走行するためには、バッテリーの蓄電量が大きな壁として立ちはだかっているのが分かります。
電気を食うカーナビゲーション
カーナビの最大消費電流はモデルによって違いがあるものの、10~15Aほど。
W(ワット)数は、A(アンペア)× V(ボルト:電圧)で計算できます。
10A × 12V = 120W
カーナビを使用すると、消費電力は白熱電球が2個分ほど。自動車にとって120Wの消費電力は小さなものではありません。
例えば、スマートフォンで地図アプリを使用すると、バッテリーの放電スピードが早くなります。スマホのバッテリーがどんどん消耗していきます。
GPSを使うと消費電力が急増する証拠。
つまり、カーナビを使わないのであれば、モニター表示をOFFにして節電する方が燃費にはプラスになります。
車内で使う電気はタダではない
電気は目に見えないこともあり、電気を使用している実感が湧きにくいもの。
しかし、エンジン車両の電装品はオルタネーターで発電された電気によって作動します。電気自動車の電装品は発電所で発電された電気が送電線に流れ、各家庭のACからEVのバッテリーに蓄えられて作動します。
ピストンエンジンの脇役とも言えるオルタネーターはエンジンの回転運動を電気エネルギーに変換する電装品。このオルタネーターのエネルギー損失は大きく、発電効率は決して高くはないようです。
21世紀は燃費の時代のため、自動車にとって燃費は重要課題。
車内で複数の電装品を使用するほど、燃費(電費)は悪化します。灯火類のLED化が進んできた背景として、ヘッドライトとテールランプ、ブレーキランプのLED化は消費電力の低減にそれなりの効果があるからでしょう。
また、LED化は灯火類のデザイン性や配光性の自由度が高まるメリットがあります。
あとは、LEDが切れないことを願うことくらい。LEDユニットは、ハロゲンやHIDのように、バルブだけの交換はできないので。
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